2011-05-16

長津の熱い思い

今日は、リビングの書棚の打ち合わせ。

すいぶん前に頼まれたのだけど、忙しすぎて、手がつけられなかった。

家具デザイナーと、遅めのランチしながら、夕方すぎまで話し込んだ。

家具の話や仕事の裏話とか、面白い時間だった。

本物の大事さを、我々が伝えていかないといけないなあと、あらためて痛感したのである。

というのも、こんな話を聞いたのだ。

その家具デザイナーは、ハンス・ウェグナーのYチェアをダイニングで使っているそうだ。

ときどきオイルで拭いたり丁寧に手入れをしているという。

そしてその様子を、あえて、子どもに見せている。

なぜ、なのか。

親が物を大切にする姿を、子どもに伝えるため。

とくとくと子どもに説教したり、子どものいたずらを叱り飛ばさなくても、
親の生き方を子どもに見せれば、ちゃんと伝わるのだ。

彼の息子は、あちこちいたずら描きするやんちゃ坊主だそうだが、
やはりYチェアには手を出さないという。

この話を聞いて、ふと思った。

親が物をぞんざいに扱えば、子どももそうなる、よね。

たとえば、若い母親たちが読む人気雑誌に出てくるようなインテリア。

使い捨て家具や、安価で、ほどほどおしゃれなブランド家具をそろえることに、
私はあえて反対はしない。

でも、せめて1万円でもいいから、本物をひとつ部屋の中に置いて、
大切に扱う暮らしをしてほしいと思う。

例えば、丸い提灯のペンダントがIKEAで3000円位。

でも、本物のイサムノグチのペンダントは1万円弱。

1週間、ランチを前日の残り物弁当でしのいだら差額は出る、とそのデザイナーは言った。

まったく、その通り。

似て非なる物で済ませるか、せめて頑張れば手に入る本物を身近に置くか。

子どもに与える影響は計り知れないと私は思う。

子どもがいるのに高価なものなどおけない。子どもに壊されるのはいや。

その気持ちはわかる。私だって、さんざん子どもに大切なものを壊されてきた。

でも、子どもが触って壊してしまったとき、怒らずに悲しい顔をして、
慈しむようにそれを片付ける親の姿を見たら、
子どもはそこで、物を大切にする心を学ぶ事ができると思うのよね。

実際、大きくなった私の子どもたちは、
本物のよさを理解する心をもち、物を大切にするスタイルをしっかり身につけてくれた。

彼らはそれをまた、自分たちの子どもにもちゃんと伝えている。

生活の真の豊かさのためにも、子どもの将来のためにも、大事なことではないだろうか。

子どもは、小さな大人なのである。